今回は、『島の色』13号からアーカイブ記事をお届け!
明治大学政治経済学部奥山ゼミナールの生徒さんたちが、卒業論文のテーマの一環として「島の色」を取りあげてくれました!
今回はその卒業論文の一部を、生徒のみなさんが島の色用に再編集いただいたものを掲載し、ご紹介します!
私たちの研究について
こんにちは!私たちは明治大学政治経済学部奥山雅之ゼミに所属する大学4年生です。
ゼミナール活動では、フィールドワークを通じて地域の魅力を探りながら、持続可能な街づくりについて研究しています。
昨年9月の合宿で、宮古島を訪問した際に「エコアイランド宮古島」の活動を知り、ご縁があり、記事を書かせて頂くことになりました。
奧山ゼミ7期生は地域産業論、中でも「離島」を共同研究のテーマとしています。
私たち3人は、企業のパーパス経営について研究した経験から、地域社会においてもパーパスのような価値観や目指すべき方向性を示し、統一することが、独自の課題を抱える離島の持続可能性に寄与するのではないかと考えました。特に、近年企業でも注目を集めている「インターナルブランディング」に着目しています。

離島の抱える問題と考察
地理的に本土と隔絶する離島では、特に若年層の流出や高齢化が進み、地域社会の活力が低下しています。人口減少により医療・福祉サービスの不足や、教育・就職機会の減少がさらに若者の島外への流出を加速させる悪循環が生じています。
このような課題を抱える地域では、観光客などの地域外の人に訴えかけるような街おこしや特産品のブランディングがよく見られます。しかし、地域資源の限界や定着の難しさから失敗する例も多くあります。そこで住民の方々の地域への愛着を醸成することを目的に、地域住民を対象にしたインターナルブランディングを行うことが離島の持続可能な活性化に有効ではないかと考えました。
インターナルブランディングとは
私たちはインターナルブランディングを「仕事や業務がブランドと関連性のあることを、社内コミュニケーションを通して社員に伝え、社員の行動様式を企業ブランドと一気通貫させていくこと」と定義しています。これを離島に置き換えて再定義化すると、「産業や取組みがブランドと関連性のあることを、島内コミュニケーションを通して島民に伝え、島民の行動様式を島のブランドと一気通貫させていくこと」となります。
島民一人ひとりの島に対する愛着やプライドはもちろん、「ずっと島に住み続けたい」「島を存続させたい」という気持ちを芽生えさせ、その気持ちをもとに島の存続のための行動に起こさせるような取り組みを行なっていくべきだと考えています。

インターナルブランディングの
成功条件
地域のインターナルブランディングのゴールは「住民が地域のブランドを理解・認識し、自発的にそのブランドらしい行動をすること」で、成功のポイントは3つあります。
1つ目は共感・納得できる地域の在り方を決めること。地域をブランディングする際、地域の歴史や未来の計画と連動性や整合性があることが重要です。また地域住民がブランドに共感し、納得するためには、自治体のみならず立場や役割等が異なる地域住民の意見を取り入れる必要があります。
2つ目は地域の在り方を見える化すること。地域住民が認知・理解できるように、それを目にする機会を作ることがポイントです。ここでは地域住民が理解しやすいように短くわかりやすい言葉で表現することや、決定までの背景や価値観を「ストーリー」として伝えること、視覚デザインを統一することも重要になります。
3つ目は地域ブランドを体現する機会を提供すること。地域住民が自発的にブランドらしい行動を取れる機会や場所があると、地域住民に浸透し、定着していきます。
宮古島とブランディング
宮古島はこれらを地域に上手く落とし込んでいて、今後、他の離島のお手本となる存在だと思っています。宮古島でのフィールドワークやその後のヒアリング調査を進めて行く中で、多くの方々が宮古島市の事を快くお話ししてくださり、心が温かくなる瞬間が何度もありました。「市民と共に歩む仕組み作り」が特にエコアイランド宮古島にとって大きな存在になっているのではないでしょうか。今回は大きく2つ取り上げてみたいと思います。
① 住民が主役になれる仕組み
1つはブランディング目的の明確化と官民共創プラットフォームの存在。エコアイランド宮古島は「いつまでも住み続けられる島」が根本に存在することから、市民も自分達が生きていく場所として当事者意識を持つことができます。
地域ブランディングの多くが十分に成功しない理由として、地域の名前を売ることだけが目的となり、様々な活動が脈絡なく行われ、行政や民間企業が独りよがりに進めてしまうことが挙げられます。
この点、宮古島では自分事化を促すのみではなく、その先の自発的な行動を可能とする土台を提供しており、地域の主人公である住民を置いていかない施策として大きく貢献しています。
② 目線を合わせた取組み
「市民と共に歩む仕組み作り」のもう1つは、ブランド化。エコアイランド宮古島始動の背景に存在する環境問題は、市民にとっては聞き馴染みのない事柄で、市民の周知が獲得できていませんでした。これ対して、離島未来ラボの代表である大島氏は、宮古島市が取り組んでいる事業や目指す方向を伝えるためにブランド化事業を提案されました。難しい情報を難しいままに伝えるのではなく、伝えたい相手にどのような方法で伝えるのが最善かを丁寧に順序分けて考えることで宮古島市の想いを伝える仕掛けとなっています。
「島の色」の存在と先の広がりへ
本誌を発行している離島未来ラボの大島氏のお話しを伺う中で、特に印象的だったのが「ブランディングにおける行動は皆同じ行動である必要はなく、様々な因子が同じゴールに向かう事で進んでいく」というお言葉でした。
私達は企業と比較して地域の場合、一人ひとりの行動可能な範囲が広い点に特徴があると考えています。また、弱みを強みに変えるインターナルブランディングは独自課題や地形を持つ離島でより効果を発揮します。宮古島市では、市民を置いていかない工夫と行動する市民をサポートする仕組みが存在し、本誌も宮古島市に対するそれぞれの想いを媒介する役割を担っていると感じています。
ターゲットを決めず、島の色に触れた人・関わった人が関係者になっていく雑誌として、更なる可能性を秘めた島の色を中心に、宮古島が離島におけるインターナルブランディングの先駆者として存在し続けて欲しいと願うとともに、私達も関係者の一員として今後も関わり続けていきたいと思っています。

※ この記事は「島の色」13号 P.20 – 21に掲載

