埼玉県立鶴ヶ島清風高等学校の生徒たちが、修学旅行の学習の一環として宮古島を訪れ、池間島漁協と宮古総合実業高校が関わる体験ツアーに参加するということで、漁協の組合長さんに誘われて取材に行ってきました。
今回のプログラムは、島の自然や文化に触れながら、地域が抱える課題について学ぶもの。景色を見るだけではわからない、島の暮らしや営みに出会う時間にもなりました。
サメを地域資源として見つめ直す取り組み
このツアーは、宮古総合実業高校商業科の生徒商業研究同好会が中心となって取り組む「みゃーくSHARKプロジェクト」と連携して行われました。
池間島では、サメが漁場や観光、生態系に影響を与える存在として課題となっています。そんなサメを、ただの問題として終わらせるのではなく、地域資源として活かしていこうというのがこの取り組みです。
漁獲同行ツアーや解体の実演、サメ肉を使った料理、歯を活用したアクセサリーづくりなど、地域と連携しながらさまざまな工夫が重ねられています。
島を歩き、暮らしにふれる
本来は、前日に仕掛けた罠にかかったサメを港で回収し、解体や試食までを体験する予定でしたが、当日は悪天候のため実施できませんでした。その代わりに、午前中は池間島の方々の案内で島内を巡り、自然や歴史、暮らしについて学ぶ時間が設けられました。地域の方の言葉を通して眺める風景は、いつもの旅とは少し違って見えたかもしれません。
海とともにある文化を感じる

その後は、宮古島の伝統的な木造船「サバニ」による体験活動も行われました。掛け声を合わせて船を進めるなかで、生徒たちは協力することの大切さや、海とともにある島の文化を体感しました。
昼食は池間食堂でサメフライ定食。初めて口にする生徒も多く、「思っていたより臭みがなく食べやすい」といった声が聞かれました。地域の課題として見られていたものが、見方を変えることで新しい価値を持つことも伝わる体験となりました。


環境について考える時間
午後には、宮古総合実業高校の生徒によるプロジェクトの説明が行われ、サメを地域資源として活用する考え方や、その背景にある課題について学びました。
また別のグループは、宮古島の海岸に流れ着く漂着ゴミの問題について学び、パイナガマビーチでビーチクリーンにも取り組みました。海の美しさにふれるだけでなく、その環境を守ることについても考える時間になりました。
生徒たちがつくる学びの場
今回のツアーの特徴のひとつは、宮古総合実業高校の生徒たちが企画や運営に主体的に関わっていることです。地域課題について学び、それを訪れた人に伝える役割を担うことで、学びがより実践的なものになっています。
受け身で参加するだけではなく、自分たちの手で場をつくること。その経験そのものが、大きな学びにつながっているようです。

体験価値を自分たちの言葉で伝える
鶴ヶ島清風高校の生徒たちは、今回の体験をもとに動画制作にも取り組んでいます。「誰に、どのような思いを届けたいか」という視点を大切にしながら、宮古島で感じた魅力や課題を、自分たちの言葉で伝えようとしています。
その動画は、埼玉県教育委員会が主催する「探究活動生徒発表会」で発表される予定です。旅先での学びが、その場限りではなく、次の表現へとつながっていきます。
地域と学びがゆるやかにつながる
今回の体験ツアーは、修学旅行の一プログラムにとどまらず、地域の課題や自然、文化、人とのつながりを通して学ぶ機会となりました。
島で出会った風景や人、そこで得た気づきは、きっと生徒たちの中に静かに残っていくはずです。そんなひとつひとつの経験が、地域を知ること、未来を考えることへとつながっていきます。
※ この記事は「島の色」16号 P.22 – 23に掲載

