ふわり、鰹が香る一杯。懐かしくて新しい宮古そばを

BY 新来(ニライ)


新来そばが描く、新しい島の一杯

「新来(ニライ)」という店名は、沖縄の言葉で理想郷を意味するニライカナイに由来します。そう話してくれたのは、新来そばの店主・平戸さん。宮古そばを通して、島の魅力そのものに触れてほしい。そんな思いが、新来という名前に込められているようです。

本来の宮古そばを大切に

宮古そばは、昔から地元の人に親しまれてきた味です。しかし、観光の広がりとともに、地元の人がそば屋に足を運ぶ機会は減り、そば自体も少しずつ姿を変えてきたのではないか。平戸さんは、そんな感覚を抱いてきたといいます。


「本来の宮古そばの魅力や文化が、十分に伝わらないまま進化していくことに違和感があったんです。」
だからこそ新来そばでは、宮古そばを見つめ直し、島が誇れる文化として発信したい。地元の人が観光客に紹介したくなる店にしたいと、平戸さんは力を込めます。

その先に見据えるのは、「宮古そばといえば、ここ」と言われる存在です。

追い鰹で広がる、味わいの奥行き

出汁を引き、麺をゆで
具材を一つひとつ丁寧に整えます

新来そばの特徴のひとつが、「追い鰹」という食べ方です。宮古そばの出汁は、豚と鰹の合わせ出汁が基本。けれど平戸さんは、豚の脂やコラーゲンが鰹節の香りを包み込み、風味が伝わりにくくなることがあると感じていました。
「だったら、食べる直前に鰹を加えてもらえば、もっと香りを楽しんでもらえるんじゃないかと思ったんです。」
今回いただいたのは宮古牛そば。しっかりした宮古牛の旨味と、追い鰹で風味が増す出汁、食べ進めるほどに表情を変える一杯でした。

看板メニューの宮古牛そば。
上品な宮古牛の食感と染みいる出汁がたまりません!

島の食材を、島の店が支える

新来そばでは、できる限り島の食材を使うことも大切にしています。それは系列店の宮古牛焼き肉 火神・さんご家でも同じです。
「宮古島には本当に素晴らしい食材があります。仕入れが難しい時期もありますが、その良さを知ってもらいたいんです。」
不安定な供給の中でも使い続けるのは、生産者を支えることも地域の飲食店の役目だと考えているから。そこには、食を通じた地域循環への思いがあります。

持続可能な島の食文化のために

平戸さんは、『島の色』創刊号から歩みをともにしてきたエコパートナーの一人。

島の環境や将来に心を寄せてきた人だからこそ、宮古そばもまた、ただの名物ではなく、島の風土や生産者の営みを映す食文化として捉えています。島の食材を大切に使い、本来の宮古そばに敬意を払いながら、宮古牛そばという新しい一杯を生み出したのも、その思いの延長線上にあるのです。

守るだけでなく、今の時代に合う形で育てていくこと。新来そばには、そんな平戸さんの志が息づいているような気がしました。

※この記事は、島の色 16号P.30 掲載

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