今回は、宮古島に移住して約10年、子育てをしながらアクセサリー作りを行なっている野田路子さんの記事をご紹介します。写真もご本人が撮影! 台風という自然の脅威により変わってしまった景色の中で、変わらない道を毎日歩む我が子の成長課程とを重ねた野田さんの思う「千年先の、未来へ。残したい宮古島の情景」を、是非ご一読ください。
せいぜい長くて100年程度
期限ある人生その先に
残したい、繋いでいきたい未来って
何だ
十年みち
家から出て一本曲がったその路
まっすぐに延びるアスファルト
壁のように高くサトウキビが茂り
風の強さを歌って知らせる
突然鳩が羽ばたく
足元にはカエルがのたれ死んでいる
オオゴマダラがはためく
咲き乱れる路傍の花が
翌日グッタリと除草剤にやられていたり
今時期はオチタカが一羽
独特の鳴声とともに美しく舞う
もうすぐしたらキビは刈られて
視界が広がる季節だ
毎日毎日
似たような顔して
それでも変化しながら在り続ける路
この路は
夫婦の未来であり
島の未来である
子どもたちの美しき通学路
大きなお腹にバックパック背負って
宮古島へ来て10年目
お腹から出た人は9歳になり
それに続いた人は6歳になった
幼稚園、小学校6年間、中学校3年間
彼らはこのみちを10年歩く
ありふれた何気ない普通の風景
宮古島の何処にでもあるようなこんなみちが
季節をなぞりながらずっと続いて欲しい
夜になれば満点の星空の下蛍が飛ぶ
そんな普通が当たり前に続いて欲しい
台風が来たら長く停電してもいい
自然が大きな力を持って人なんかじゃ敵わない
そんなバランスがずっと続いて欲しい
私たちが愛して止まない
ゆっくりのんびりと流れる宮古島の時間が
ゆっくりのんびりと続いていきますように
野田路子
この記事は、エコアイランド宮古島の事業の中で実施された「セソコマサユキさんに学ぶ 市民ライター講座 」で市民が制作した記事です。