~本当に大切なものを探して~ 島の風土に寄り添うレストランを。
楽園の果実
島の色の特集コンテンツ「島の色々」から、楽園の果実さんの特集記事をご紹介します。
島の素晴らしさを伝えていく事業がしたい
「子供達にも島にも安心安全で自然に負荷をかけない農業がしたかった。」
そう語るのは来間島の「農家れすとらん 楽園の果実」オーナー、砂川智子さん。
島の農家へ嫁いだのは約三十五年前。試行錯誤しながら、島の気候・土壌に合う作物の育て方、お店の方向性などを確立してきました。
来間大橋がかかり、観光客が増えはじめた時に、島の人たちも巻き込んだ事業をしたいと思って始めたのが楽園の果実でした。また、採れたての野菜や果実の本当の美味しさを味わってもらうために、レストランや加工場も作りました。
気づいた地域の課題
橋がかかる前は、離島苦で、それはそれでたくさん苦労はしましたが、島の暮らしから学ぶことも多かったそうです。たった数十年の間に、この島は大きく様変わりしたと感じているそうです。発展の影で失ったものもあるのではないか…レストランという仕事をしていく中で、より島のことについて考えることが多くなっていきました。
「特に、最近の活況な観光で島が賑わう中、本当に大切なものが失われているのでないかと考えたりすることがあります。昔から来間島で生きてきた人たちがだんだんと少なくなってきて、何を残していくべきか、それを誰が伝えていくのか、日々考えています。」
島の未来を若者に託して
年に神事が二十二回も行われ、司・ユージャスを中心に今も島の人々の為に祈りが捧げられています。そんな島の精神文化をしっかりと理解し、次の世代へ繋いでいく役割を与えられたと感じているそうです。
来間島最大の行事「ヤーマス」では、三家ある家元の一つとして中心的な役割を果たし、分家の人々と大切な行事の文化を今に受け継いでいます。また、神聖な祈りを捧げる場面もありますが、行事に参加する島人達の楽しそうに語らう姿も印象的でした。その全てが、智子さんが受け継いでいきたい文化なのだと感じました。
「さまざまな考え方の人たちがいるけれど、”島の自然を守りたい”を一つの軸として、その考えに賛同してくれる人たちが島の新たな未来を作っていってほしい。ただ海がきれいとか、人が優しいだけでなく、島で生きる人の生活の中に、どういう風習があり、その由来や背景まで知ってほしい。その上で宮古島が大好きと言ってもらえたら本当にうれしい。」
最後の言葉は、まさに責任ある旅行者へのメッセージのようにも感じました。