BY SAHIRAスピリッツ製造所
使われなくなった工場を再生せよ
宮古島産サトウキビから作られたラム酒
ANGEをご存じでしょうか?ANGEは、サトウキビ工場から出る副産物「糖蜜」を再利用し、さらに利活用を求められていた旧バイオエタノール工場を使い誕生した、とってもリジェネラティブなエコプロダクトです。
実は私たち編集部も、工場の再利用について長い間お話を伺ってきたのでANGEの完成は自分ごとのように感じます。プロジェクトを牽引する大嶺さんからようやく方向性が見えてきたと聞き、ANGEを使ったカクテルを提供する「パスタハウス庭」のサービス担当の山本さん、広報の黒川さんと共に、製造工場を訪ねました。

工場について説明をする大嶺さん
島にあるものだけで作るラムを
2020年、コロナ禍で宮古島の生活が一変した時、大嶺さんが考えた工場の利活用案が消毒用アルコール製造でした。しかし、工場を訪ねてくる人々が口々に「ラム酒を作っては?」と言いラム酒開発へと大きく舵を切ったのです。
大嶺さんが目指したのは、隣にある製糖工場で出る副産物の糖蜜を活かし、工場を活かし、島にあるものだけで作り、地域資源を活かし切ったラム酒作り。
試行錯誤を重ねて、宮古島の温度と湿度をうまく利用しながら熟成を進め完成したのがANGEです。
ラム酒の製造過程では、最初に92度まで蒸留した後、調整をして40度前後で熟成。活性炭を使用し、クセの少ない味わいを実現しました。
現在は樽熟成のラム作りが進んでおり、ゴールド・ダークラムの新製品も開発中だと、大嶺さんは目を輝かせます。宮古島の温暖な気候により、熟成がかなり早く進むため、その仕上がりが楽しみだと言います。
また、ANGEを楽しめるお店も増えてきました。工場を訪れた「パスタハウス庭」さんでは、ANGEを使ったブルーハワイやピニャコラーダ、マイタイ、モヒートを使った特製カクテルが提供され、評判を呼んでいます。

ANGEを使ったトロピカルカクテル。
お試しあれ〜
目指すは、循環型の地域産業
大嶺さんはラム酒製造にとどまらず、地域資源を最大限に活用した循環型産業の構築を目指しています。製糖工場から出る糖蜜はラム酒の原料として使われ、畑の肥料にも活用されています。さらに、ラム製造工場横でヤギを飼育し、その糞を肥料として再利用する仕組みづくりが進められ、循環型産業の構築へ着実に歩みを進めています。
元々銀行マンだった大嶺さんは、さまざまな事業者と対話を重ねる中で、島内で経済を回す大切さに気づいたそうです。
ラム酒から農業、畜産へと、これまでの産業と新しいチャレンジを巧みに循環させていく。そんな夢のある挑戦に、まっすぐに向き合う大嶺さんの姿勢には、これからも大きな期待を寄せずにはいられません。

南西楽園リゾートのにいにい達と!