保良クバクンダイ鍾乳洞を 千年先まで!

宮古島市東部・保良地区にある「保良クバクンダイ鍾乳洞」が、2025年3月7日付けで宮古島市教育委員会により「市指定文化財(天然記念物)」として新たに指定されました。これは市内で123件目の文化財指定であり、自然地形としては数少ない事例です。
今回の指定は、地域の自然遺産を守り伝えるうえで、非常に意義深い節目といえます。

保良クバクンダイ鍾乳洞とは?

保良クバクンダイ鍾乳洞は、海とつながる海蝕性鍾乳洞で、干潮時にだけ姿を現す入り口から内部へ入ると、青く輝く海水と白い鍾乳石が織りなす幻想的な光景が広がります。


洞窟内の巨大な丸みを帯びた鍾乳石が、まるでカボチャのように見えることから、
通称「パンプキンホール」と呼ばれるこの鍾乳洞は、地元の人々からは「クバクンダイ」と呼ばれています。クバクンダイとは地元の言葉で「クバ(ビロウ)の葉が落ちる場所」という意味です。

▲パンプキンホールの由来となった、フローストーン(流れ石)


地元の人々にとっては昔から親しまれてきた、神秘的な自然の空間です。その自然的・文化的価値が高く評価され、今回の文化財指定が実現されました。
文化財指定に至った経緯や、今後の保存計画などについて、宮古島市教育委員会生涯学習振興課文化財係 久貝さんに伺ってきました。


文化財指定に至った経緯

指定に至った背景には、地元の保良自治会からの「貴重な自然環境を守ってほしい」という強い要望があったそうです。
宮古島市教育委員会では、こうした声や、観光利用の拡大に伴い、洞窟の環境への影響が懸念されるようになったことを受け、専門機関と連携して科学的調査を実施。
その結果、洞窟内部では棚田状の鍾乳石「リムストーンプール」やカーテン状の鍾乳石など、学術的にも貴重な地形が多数確認されました。

▲リムストーンプールの底にあるケイブパール(洞窟真珠)
▲リムストーンプール
▲カーテン状の鍾乳石


また、閉鎖性の高い洞内環境には、宮古島固有の希少種である「ツヅピスキホラヒメグモ」をはじめとする、特殊な洞窟生態系も発見され、生態学的にも高い自然遺産価値を持っていることが確認されています。
これらの調査結果から、自然環境としての保全価値が非常に高いことが裏付けられました。

▲ツヅピスキホラヒメグモ(宮古島固有種)
▲タカラウミコオロギ(成虫) 
▲タカラウミコオロギ(幼虫)
▲ウスイロキマダラウマ
▲ドウクツベンケイガニ

※本ページ掲載の写真はすべて宮古島市教育委員会提供

文化財として守る
新たな保全のステージへ 

これまで、保良クバクンダイ鍾乳洞は、県の指導のもと協定事業者が洞窟保護に携わってきました。加えて、今後は市指定文化財として、宮古島市教育委員会教が管理、保全活用計画を策定し、洞窟内の環境保護が進められていきます。

▲鍾乳洞内部での調査の様子


今後、さらなる調査を経て、立ち入り可能区域や見学ルールの見直しを行い、観光と保全のバランスをどう取るかが重要なテーマとなります。
観光事業者や地域住民、研究者など多様な関係者と連携しながら、「洞窟の価値を守りつつ、多くの人にその魅力を知ってもらうにはどうすべきか」という、「守る」「伝える」「活かす」という3つの視点で持続可能な洞窟管理のあり方を模索しています。
保良クバクンダイ鍾乳洞の文化財指定は、単なる「文化保護の強化」にとどまりません。
地域が主導し、自然を尊重するかたちで進められたこの取り組みは、エコアイランド宮古島の理念とも言えます。観光と自然保護の両立は決して容易ではありませんが、エコと観光の共存を目指し、宮古島が掲げる「エコアイランド」の理念を実践する好機でもあります。このような取り組みは、まさに宮古島ならではの挑戦で
す。
保良クバクンダイ鍾乳洞の文化財指定が、その理想を体現する重要な実践例となることを期待します!

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